筋膜リリースについてFascia release

当院では用手器具筋膜モビリゼーション（FaST:Fascia Slick Technic）という施術を行っています。FaSTでは、皮膚の上から専用の器具（スキャンドスリックプロ）で深層の筋膜を狙って擦り、筋膜線維の乱れを整えて癒着を解放していきます。過酷な運動では筋膜線維が分断されてささくれ立ち、長時間の不良姿勢などでは筋固縮が起こります。その結果摩擦抵抗が増し、放置すると癒着して滑らかな動きを失います。サビをこそぎ落とすように筋膜をピカピカに磨き上げ、滑らかな動きを取り戻します。

FaSTで使用する器具はステンレス製で、研磨職人により磨き上げられた滑らかなエッジと弯曲形状に秘密があります。このエッジが線維の乱れや癒着を捉えるとゴリゴリとした感触が施術者に伝わり、同時に本人にも伝わります。病巣を“発見”し、線維の乱れを“整え”、癒着を“解き放つ”ように施術を行っていきます。その際に不快感や痛みを伴うことがあります。その後のストレッチや正しい反復運動を行うことでさらに柔軟性が回復して筋膜線維が整い、強度を増してパフォーマンスが向上します。

皮膚と皮下組織、隣接する筋膜と筋膜の間、筋膜・腱・靱帯内部の線維化や癒着を見つけて解消します。筋膜線維の乱れや癒着により筋膜間の滑りが失われ、鈍い動作や柔軟性低下、さらに強張りや痛みの原因になります。乱れた筋膜線維を整え、癒着を解消することで体内の動作抵抗が低減し、軽快で滑らかな動作が回復します。使い過ぎによる慢性炎症と考えられていた多くの病状が実は筋膜線維の変性によるものであることがわかっています。はびこった繊維化や瘢痕を取り除き本来の組織を再生修復することで、元来の機能強度を回復し、ケガをしない身体を取り戻します。取り除きたい瘢痕組織は非常に硬く、器具による施術が適しています。

FaSTは運動で消耗損傷した筋や筋膜線維を整えることで、血液やリンパの流れをよくし、より早く正しい回復を助ける施術方法です。施術後に下記のような症状が表れることがありますが、いずれも3～7日で解消されますのでご安心ください。

〇筋肉痛
筋・筋膜の癒着や可動域制限を解放することで、「筋肉痛」が現れることがあります。ほとんどの場合は可動域制限の解放が原因で、施術が効果的であったことを示すものです。通例48～72時間で収まりますが、アイシングやストレッチである程度緩和できます。

〇青アザ（青じみ・皮下出血斑）
筋や筋膜を整える際に、古い線維化巣・瘢痕化した組織を解消することは機能的な回復に必要です。しかしその際に多少の出血を伴うことがあり、これが「青アザ」として現れることがあります。青アザは通常3～4日で解消します。

〇水分補給
一日にコップ6～8杯（激しい運動時は一時間毎に500ml～1,000ml）の水分摂取をお勧めします。十分な水分補給は、正しい治癒過程に重要です。

〇負傷部位の継続ケア
筋・筋膜の正しい回復には、最小限の運動が推奨されます。ストレッチや身体が温まる程度の軽い筋反復運動を行ってください。